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世界平和を
大樹
すばらしき人生12

今年も早いもので残すところ、あと僅かでございます。昔は師走ともなれば、仕事も忙しく、慌ただしく御用納めを迎えたものでした。最近はそういう雰囲気があまり感じられません。この一年を振り返り、部分的には巨大台風、ゲリラ豪雨、竜巻といった地球温暖化がもたらすと思われる脅威もありましたが、良い年であったと、つくづく思います。元旦祭は天気も良くぽかぽか陽気でした。一年の計は元旦にありと申しまして、まさに、総括は元旦にあるようであります。


 さて、この大樹も一年間、執筆させて頂きました。乱筆、乱文にはご容赦下さい。いま私は、文章を書く難しさと戦っております。どのような内容を書けば喜んで頂けるか?参考になることがあるだろうか?文字として思いを伝えることはとても難しいと肌で感じている次第であります。しかし、法公先生が六十年弱、執筆された貴重な大樹を書き続けることが、せめてもの親孝行に繋がると思い必死で執筆させて頂いております。どうか宜しくお願い申し上げます。


 人生には、いろんな岐路に立つケースがあります。私の場合、22歳で医薬品流通会社に就職しました。しかし、とても給料水準が低く生活が困窮しておりました。そんな、ある日、元同僚で転職をしたI君と偶然、ある病院の薬剤部で会ってしまいました。I君は私より一年後輩でした。それで、何処へ転職したのか根掘り葉掘り聞きだしました。それで、外資系製薬会社に就職しましたということでした。私は、仕事の内容や待遇の話を聞き、まんざらでもないなと思い、私を推挙してくれるよう依頼しました。それで、以前、記させて頂きましたように、外国人の副社長と日本人の営業本部長との面接となった訳であります。そして、就職をさせて頂くこととなりました。私は、偶然I君に会ってしまいました。これは良い縁に触れた訳であります。お蔭さまで、自分が納得でき、満足を感ずる仕事に就けました。この時、まさに転機という岐路に立たされた訳であります。ある偉い方が、偶然は有りませんとおっしゃっておられました。確かにそうですよね、たまたま偶然そのような良い話が舞い込んでくる筈はありません。因果応報であることは疑う余地もありません。


 私たちは、良い縁に触れるために、良いこと「善行」を行ないます。法公先生、曰く『蒔かぬ種は生えぬ』です。まさに、この言葉に尽きると思っております。不思議なもので「善行」すれば、必ず「良い人」が自分の周りに集まるものであります。そして、自分の力になってくれる人が現れてきます。いわゆる『類は友を呼ぶ』と申しまして、気の合う者や似通った者同士は、自然に寄り集まって仲間を作るものであるということであります。従いまして「善行」すれば「良い人」となり、集まった友も同じ価値観の人が集まる訳です。そして、自分が人のためになることを喜びと思い実践すれば、必ず助けてくれる人が現れてくるのは当然であります。


 反社会的な活動の方は別ですが、どんな仕事でも人様の役に立たない仕事はありません。仕事とは「楽しんで」「喜んで」「感謝して」「相手の立場に立って」最後までやり遂げることが、極めて重要であると思っております。世間の一般常識と専門知識があれば、どの様に仕事を進めるかは、本人の気持ち次第であります。


 私が34歳の時、製薬会社に入社しました。最初の赴任地は静岡県でした。ご存知のように静岡県は東西が155キロあり、南北は120キロ弱であります。人口密度は東西に細長く分布しております。人口は380万人弱と全国では十番目になります。また、先般、世界遺産登録になった「富士山」もあります。県を東部・中部・西部と三つに分かれております。私は中部の大井川を境に島田市より東部、伊豆半島の先端の南伊豆町まで広範囲に担当をしておりました。もっとも、南伊豆には大病院は御座いませんので、河津町までがテリトリー(担当地区)でありました。毎日、東名高速を利用し東奔西走の日々でした。その静岡県で最も糖尿病のペイシェント(患者)が多い病院の攻略が最優先課題でありました。当時、東海四県の中でも静岡市のS病院がダントツにペイシェントがおられました。私は、その病院の糖尿病専門外来、副院長先生との運命的な出会いがあったから人生が変わったといっても過言ではありません。先ほど記されて頂きましたが、偶然とは有り得ないということであります。


 すでに、私の中でターゲット(標的)はロックオン(狙った獲物は逃さない)されました。どのようなストラテジー(戦略)・タクティクス(戦術)を立て、いかに攻略をするかが鍵となります。私の場合、静岡県のS病院、I副院長先生にこう云いました。病院訪問を始め二ヶ月ほど経ち、ある程度、人間関係ができたと感じた時に『ある殺し文句』を云いました。病院の外来の床に正座をして、「先生、お願いがあります。私を男にして下さい」と云いました。先生は目を丸くし、少し驚かれたようでしたが、解りましたと云って下さいました。相手に勝負を賭けるタイミングや雰囲気が重要でありますが、まさに、今このタイミングで云えたことが『天下分け目の大勝負』に勝ったと思った瞬間でありました。たかが言葉、されど言葉の力は大きいと痛感した次第であります。その一言で勝負はつきました。I先生より絶大な信頼を得られることができました。私が『こうあるべきだ』 『こうなりたい』 『こうしたい』と思う想いが相手に伝わり、何とかしてあげなければ、という使命感が生まれたものと考察されます。


 一般論で申しますと、先ず、会話をしてどんな人物か見定めをする。人格・性格・立場・信頼性・紳士的・趣味・趣向・家族構成やその他、関連周辺場情報を入手する。往々にして意外と他のドクターや看護師さんから周辺情報が取れるものであります。相手が分からないとストラテジーの骨格ができません。次に一般的な言い回しをすれば『名を売る』という言葉があるように製品よりも自分を覚えてもらわなければ、第一歩は有り得ません。ファーストプライオリティー(最優先)は名前を覚えてもらうことであります。そして、性格や人格を理解してもらうことも大切であります。なぜ時間を費やし面会をするのか目的を明確に伝えないといけません。曖昧な目的のまま何度お会いしても埒が上がらないのであります。この場合のストラテジーは、相手を理解し、自分というものを理解して頂くことであります。そして、相手と親密な関係を創ることが、目的を達成することに繋がってまいります。いわゆる人間関係の構築がとても重要となります。


 それでは、タクティクスの方法はどのようなことと申しますと、いつも同じ時間に訪問する(使命感)。豊富な知識(安定感)。約束は必ず守る(信頼感)。重要なことはメモを取る(安心感)。相手に対し失礼な言動は避ける(正義感)。そして、相手のニーズ(要求)にどのような形で応えるのか。ニーズと云っても口に出して云ってくれるドクターは稀であります。ニーズをいかに引き出すかがポイントであります。そして、近い将来、想像できうる最大限のニーズを推測し、先手を打つことであります。文字で表現するのは難しいのですが、現在のニーズを知り、その延長線上にある将来のニーズを読み取り、先回りをしてそのニーズに応える。そのことが、いわゆる『感動』を与えることになると確信しております。また、相手の趣味を理解し、自分も同じ趣味を持つことも重要なファクター(要素)であります。また、誰にでも特別な日という記念日がございます。その記念日に心のこもっったプレゼントを差し上げることも効果的であります。人は記念日を覚えていてもらうことが、物を貰うことより嬉しいものです。プレゼントの物は、あくまでも相手に差し上げるツール(道具)であります。常に相手のことを思っているという心遣いが嬉しいのであります。また、ある時は、食事接待、ゴルフ接待と相手のリクエスト(要望)に応えることも重要であります。


 人それぞれタクティクスに違いはありますが、一般論で考えますと、会話において『話し上手は聴き上手』と申しまして、いわゆる傾聴能力を高め、相手が何を訴えているのか、理解するスキル(能力)が必要となります。『糠に釘』では、誰も相手にしてくれません。そして、共通のビジョン(展望)を持つことであります。そして、価値観の共有化へと繋がっていきます。そうすれば、信頼関係ができ、ビジネスが円滑に進められる訳であります。社会とは他人同士の集合体です。仕事も然りでございます。初対面の方とセールスをしなければなりません。従いまして、相互理解、相思相愛、信頼関係、それと、他者に秀でる何かが必要であります。それには、共通のビジョン、共通の価値観、そして、『まごころ』であります。これだけ兼ね備えれば、必ず成功の道に繋がるものと確信しております。


 たとえば、人生八十年とするならば、最初の二十年は勉強であります。学問だけではありません。将来の展望を決めるべく道を学ぶ勉強をします。次の四十年は仕事に専念し円満な家庭を築くことです。最後の二十年は、自分の天寿をどのように全うするかを考える時間であります。私の敬愛する稲森和夫さん曰く「人生とは、自分自身が脚本を書き、主役を演じるドラマだ。どのようなドラマを描くかは自分次第であり、心や考え方を高めることによって、運命を変えることができる。一日一日を懸命に生きれば、未来が開かれていく」このように、自分の人生は自分で決めなければなりません。


 ことわざに「終わりよければすべてよし」とあります。物事は最終の結末がもっとも大事であり、途中の過程は問題にならないということであります。従いまして、人生八十歳としたならば、最後の二十年が最も重要となってまいります。どのように、自分の魂を磨くのかが重要となります。人から「愛される人」「信頼される人」「尊敬される人」「頼られる人」いわゆる『良い人』となることが求められます。そのためにも、私たちが日ごろ学んでいる『法華経』の尊い教えがございます。こんなに身近なところに、ある訳であります。皆様も同様と思いますが、私たちの生活の中に「法華経の教え」が溶け込んでおります。もはや、体の一部となっております。そして、尊い教えのエキスであります三徳の励行。「慈悲」「誠」「堪忍」を日々の生活の中で、より多く実践することにより『徳高き人』となり、心身ともに健康で長生きすることが最も重要であります。皆様が『徳高き人』になることが『すばらしき人生』であったという証しとなるでしょう。


合 掌


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