新年あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。今年一年、皆様にとり良い年になりますよう、心よりお祈り申し上げます。
一年の計は元旦にありと申しまして、一月一日は特別な日でございます。三徳の実践『慈悲』 『誠』 『堪忍』を行うことにより、積徳する習慣ができるのであります。そして、一年の無病息災を願うのもまさに元旦であります。今年の法公会スローガンは、『決断と実行』であります。そういう意味でも、元旦祭にお参りいただき、清らかで、穏やかな心で過ごされ、新たな決意をされることが最も大切であります。
さて、今年は、どんな年になるのでしょうか?地球温暖化がもたらすといわれております気象の変化は近年の異常気象の最たるものであります。私たち一人一人が、環境問題と対峙しなくてはなりません。最近では物を大切にするという精神が希薄化しているように思われます。私たちは、『もったいない』の精神を日常心掛ける必要があると思います。これには、使い捨て文化が根付いたことが原因と考えられます。使い捨ては、合理的で衛生的で利便的と思われているようであります。そして、技術革新と文化は比例的に進捗してまいります。新しい技術が開発されたことで物質文化の充実と満足が得られるからであります。また、資源の再利用や効率化も促進し、結果として社会貢献となって、国民に大きな利益をもたらします。最先端の技術を駆使して少ない資源で大きな成果を上げることができます。非常にありがたいことであります。
しかし、私たちは、物質的に満足できれば、果たしてそれでよいのでしょうか?なぜか、むなしさを感ずるのは私だけでしょうか?日本が高度成長期で経済発展が右肩上がりの時は、まだ良かったかもしれません。しかし、現在のように低成長期(成熟期)になりますと、需要と供給のアンバランスが生じ、無駄が発生します。この無駄を解消するためにデフレとなり、悪循環を生じ、負のスパイラルに陥ってしまいます。今、私たちは、原点に立ち返り『もったいない』の精神にフォーカスする時期ではないでしょうか?物を大切にする精神こそ、物質文化のデメリットを排除する唯一の解決策と考えております。
最近、感じられることは、確かに自分の周りに便利なものが増えたと感心しております。しかし、温もりを感じないというか、乾燥した感があります。パソコン、スマートフォンなどの普及により、人と触れ合う機会がメッキリ少なくなったと感じております。最近では、電話はあまり使用しません。メールもしなくなりました。殆んどLINE(ライン)で事足ります。LINEはメールでいう返信のようなものですから履歴が残ります。その分使い勝手が良いのであります。やはり、便利なものができると、その分、会話やコミュニケーションがなくても生活に不自由を感じないものです。文明の発展、技術革新も本来の人間の持つ感情、表情、愛情、人情、同情、あらゆる情を希薄にしてしまうように思われます。
世間では、犯罪が横行しております。毎日のように、新聞紙面に事件が載っております。これは、日本人の道徳・倫理教育に問題があるのではと感じております。親の教育、学校教育、隣人教育、先輩教育、友達教育といろんな教育があると思いますが、昨今では、ゲーム機器の普及により、遊び方が随分変わって参りました。ゲームでは自分が主人公となり遊ぶことができます。また、最近では、仮想空間と申しまして、パソコンの中で非現実の世界を創りだし、生活をするといったような、何でも、自分一人でできることばかりであります。これはただ単に理想と現実の乖離を生むだけと思われます。そして、最近の文科省調査で学校での「いじめ」が急増しております。これは大きな社会問題となっております。従いまして、現実逃避や利己的で身勝手な自分を創造しても不自然を感じない人格の人間が増えているものと考える次第であります。そして、自己中心的な言動や行動をとっても、自分は正しいと思ってしまう嘆かわしい状況であるように思われます。地球温暖化も環境であり、人間も環境次第で如何様にもなってしまいます。如何に環境が大切かお分かりいただけたと思います。
「三つ子の魂百まで」という諺がございます。幼い頃の性格は、年をとっても変わらないということであります。お母さんのお腹にいる時から、概ね三歳までの生育教育が極めて重要といわれております。生涯の性格、いわゆる『本性』が定まってしまうからであります。ここでも、生育環境がとても大事であります。一言で云うなら、私たちを取り巻く全ての環境が人間に与える大きなファクターとなっているからであります。
仕事をするのは、誰しも大変なことであります。働いて、お金を稼いで生計を立てておりますが、私が、初任給を貰った時のあの感動は今でも忘れません。自分で働いたお金だからこそ尊いのであります。本当に有難いと感謝をさせていただきました。
人生、幾つかの岐路がやって参ります。私の場合、学生から社会人、結婚、転職と大きな岐路に立ちました。何故かいつも自然の流れの如く、大我なく自分がイメージしたようになりました。これは、人生にレールがあるとしたら、まさに、そのレールにうまく乗れたということでしょうか?このような岐路や試練に立たされる時、たまたま偶然、有難いことに良い話が舞い込んできておりました。不思議ですが私を助けてくれる誰かが必ず現れたのであります。私たち人間は一人では生きられるものではありません。どんな場合でも人との関わりが大切であります。「良い人脈」があれば、どんなピンチも避けることができ、良い方向へと導いていただけるものであります。
私が、静岡に赴任となり、糖尿病領域はある程度、克服できたのですが、成長ホルモン領域では、タクティクス(戦術)が違うため、結構、苦労をいたしました。半年間、新規患者を獲得できずに苦しんでいたところ営業部長より、このように云われました。「君ね、医局の壁の花になっていないだろうね?・・・」要するに、医局の壁に掛かっている花の額に入った絵のことを云われました。何も仕事をしていないと指摘を受けた訳であります。会社では毎週、新規患者獲得トレースをしておりまして、月曜日が来ると憂鬱で結構へこんでおりました。そして、また一ヶ月程経過しても、一例も患者が取れませんでしたので、今度は「君ね、病院の空気ばかり吸っていちゃ駄目だよ!・・・」と云われてしまいました。他の営業マンがいる前で、この一言は私の脳裏に焼き付きました。そして、私は、部長に対し怒りさえ覚えたのも正直な所です。そこまで云われるならと思い一大奮起し、こうなったら必ず部長を見返してやろうと思いました。とにかく絶対に一例の患者獲得をしようと強い決意を持ちました。
先ず、自分を知らなければならないと思いました。『人にあって自分にないもの』とは何なのか?を真剣に考えるようになりました。そこで、自分の欠点がハッキリ見えて来ました。粘り強さと押しの強さが足りないことに気づきました。自分のサクセスストーリーを作るべく小さな診療所から試みようと思い、三島の内分泌専門医で二~三例治療をしておられる施設をマーケットリサーチ(市場調査)し、セールスさんと同行訪問のアポイントを取りました。北大ご出身の感じの良いドクターで、頻回に訪問を試み、やっと三例切り替えていただきました。この時の成功の要因は、相手のニーズ(要求)に応えることができたからであります。この成長ホルモン製剤は先発メーカー三社、準先発メーカー三社と六社で競合をしております。私は、卸のセールスさんを介し、通常価格で見積もりを出してもらうよう依頼しました。特別安くもなく高くもない適正価格でしたが、既商品の価格が高すぎたことが、先生の逆鱗に触れたため、切り替えていただける結果となりました。そもそも、このドクターは素直で優しい性格ですが、それを良いことに、常識以上に高い価格で納入していたことで、担当者の信用が失墜したものと考えられます。信用を作るのに半年、一年と掛かりますが、失うのは一瞬であります。これで、私自身、自信ができた訳であります。胸を張って部長に三例獲得しましたと報告ができました。部長の言動でやる気が起き、闘志に火がついたと思っております。部長の愛の鞭に大いに感謝をしました。つくづく、自分の欠点を克服することが成功に繋がる近道であると思った次第であります。それには、如何に自分を客観的に視ることができるか、また、相手の立場で物事を考えることができるかどうかが鍵となるでしょう。
最初の取っ掛かりさえ上手にクリアできれば、ユーザーによりそれぞれニーズは違いますが、次々と新規口座を創ることができるものであります。自分に対する自信、それにプライドとやり遂げるという強い信念により、粘り強さと忍耐力を身につけることができました。
人は「誠実」「謙虚」「正直」であれば人間的には問題は無いと思います。しかし、ビジネスにはそれに加え、「正確」「迅速」「自信」「親切」「丁寧」でないといけません。そして、常に「人にあって自分にないもの」を客観的な見地から考察して、自分の弱点を認識し克服することであります。そして、『人に秀でる何か』が無いと、その人の魅力を発揮できません。そして、何事も『人に先んじて』行うことが肝要であります。
人それぞれ、人生観、価値観、使命観など違いがあります。仕事の仕方も様ざまであります。昔はよく先輩の背中を見て育つと申しましたが、現在では職人の方は現在進行形であると思っております。しかし、私が考えるに、先輩で『良い手本』 『悪い手本』があるとするなら良い部分だけを吸収することが必須であります。そして、手法としての理想形は、ローリスク・ハイリターンと安全で最大限の利益を生むことにあります。ローリスク・ローリターン(堅実的)若しくは、ハイリスク・ハイリターン(冒険的)のどちらを取るかは性格次第であります。テクニックについて詳細は申しませんが、ユーザーに対し恒常的に安定感があるという所に軸足を置き、信賞必罰の覚悟で取り組むことが極めて重要と考えております。
私たちには法華経という尊い『教え』がございます。常日頃より『慈悲』 『誠』 『堪忍』の三徳を積むことがとても大切であります。『良い人』すなわち『善人』になり、『良縁』に触れることが、三徳を積む上で大事であります。良い縁に触れるためには、皆さんが日曜法座に足を運んで下さることであります。ご存知のように法華経を通じ『徳高き人』がお参りに見えておられます。その中でお逢いする人は「類は友を呼ぶ」と申しますように、すべて『善人』でございます。法座を通じ良縁に触れ、更に徳を積んでいくことが幸福への唯一の道と考えております。どうかご精進をなさって、率先して『積徳の人生』を歩むことで『すばらしき人生』に邁進していただきたいと思っております。
合 掌